【注】まとまりのない記事です。
モスクワはここのところ毎日雨が降っています。普段なら雨が降ってもすぐやむことが多いので、傘はあまり持ち歩かないのですが、最近の雨は一日中しとしとと降り続けているので、外に出る時は傘が必需です。
また8月末頃から急激に寒くなり、昨日は下着、長袖シャツ、ジャンバーという格好で外に出ていました。寒い。
ということで、ここのところ何も書いていないチェマダンブログに、賑やかしのため、雨にまつわる話題(?)をお届けします。
モスクワは雨が降ると、至る所に水たまりが出来るので、どのような靴を履いて出るかがとても大事です。
日本では道路ってちょっと凸型になっていて、水がたまらないようになっているそうです。ご存知でしたか?
僕はこのことを昔スピリッツで連載していた『奈緒子』という駅伝スポ根激アツ漫画で知りました。壱岐雄介という天才少年ランナーが田舎の学校を京都の都大路(駅伝全国大会)に連れて行って優勝する話なのですが、足の腱が切れても、膝の皿が割れても襷をつなぐために走り続ける少年たちの姿に涙が止まりませんでした。
人間の限界とはどこにあるのだろうか、ちょっと無理しすぎなんじゃないか、と僕は思ったものです。
そのなかで、壱岐雄介にアドヴァイスされた一人のチームメートが自分の区間を走るときに、道の真ん中を走るんです。道路の端は傾いているから片足に疲労がたまりやすい。そこをつけばいいんだ、と(本当なの?)。この箇所を読んで、あー、水はけいいもんね、と必死に走る少年のことを忘れ、僕は妙に納得したものでした。
ところで、こういう道路の設計って世界標準なの? 少なくともモスクワは違うと思うんだけど。仮にそう設計してても疲労破壊でぼこぼこで機能していないんだけど、とここ最近の雨で思い出したのです。
前置きが長くなりましたが、さらにもう少し寄り道します。
こちらの写真をご覧ください。
知人のブログ(こちら)の北京旅行記の写真なのですが、ここで次のように書かれています。
「天安門広場を一瞥したあと女性衛兵が立番する横を抜けて城門をくぐる。雨がだいぶひどくなってきたが履いてきたのは穴だらけの布靴(CONVERSE)なもんだからあっという間に浸水され靴下まで重い。早く屋内へ入りたいが門を抜けた先はまたしても広場、本丸はまだまだ先である。雨天ながらも土産の行商がたくましく頑張っており、あちこちで声を張り上げている。こんな天気なので傘売りも多い。そして自分は見たこともない代物が売られていることに気づく。写真右側に立つ黒いジャンパーを着た男性に注目してほしい。
(上の写真)
頭だけを保護する傘だ。ちょっとした衝撃を受ける。こんなものは見たことがない。見たことはないが、かといって意外でもない。ちょっと工作の心得がある人ならこの程度のものは作られるだろう。しかし、少なくとも日本では誰も思いつかなかった。いや、思いついた人もきっといるとは思うが、商品として流通するには至らなかった。
自分は普段からものぐさで、出歩く時も手ぶらを好むので肩や腰に鞄を掛けることはあっても手には持たない。仕事でもない限りタバコや本より重いものは持たぬ主義だ。そんな性分だから雨が降っていても傘を嫌って濡れるにまかせて歩くこともある。だったらこの珍アイテム、頭傘(?)さえあればいいじゃないか、とは何故か思わない。どうにも格好悪すぎる。となると手ぶら主義などと言ってはみたものの、格好良さを気にする心性の前にこれは跪いてしまうのか。きっとそうなのだろう。個性といい新奇というが、それらもまた我々の手にする常識という名のカタログ、その中の「個性」「新奇」なる項目に配された要素を選んでいるに過ぎない。そんなことを考えながら広場を越え次の城門をくぐる。」(引用終わり)
この記事を読んだとき、僕はなかなか衝撃を受けました。なんだかすごいな、と。言語化するのもめんどくさいようなぼやっとした衝撃です。上で知人が説明してくれていますし! それからずっと頭の片隅に残っていたのですが、ついに先日、モスクワで似たようなものに遭遇しました。
こちらの写真をご覧ください。
見た目のキャッチーさでは北京の「頭傘」には遥か遠く及ばないものの、その機能性および印象としては、北京のそれとかなり似たものだったと思います。「これか!」と思いました。
一人でテンションが高くなっていますが、分かりますでしょうか?
靴、の上に透明の靴。いやー、すごい。ちょー蒸れそう。
でもこれさえあれば、どうしても今日はスニーカーが履きたいのに、雨がふってやがるシット!みたいな日にもお構いなしにスニーカーが履けます。
実際このおじさん(おじさんでした)もスニーカーだし。水たまりもものともしない。靴on靴。靴用長靴。
日本にもあるのかな、と思いながら、ちょっと探してみたところ、こういうのはある見たいです。
使い捨てなんて地球に優しくない! 断然モスクワのほうがいい! とはまったくなりませんが、なんだか今ひとつぱっとしません。
もう少し探してみました。
【【即納】■商品到着後レビュー記載で特価購入■靴の上から履ける マジックレインシューズ レインブーツ■カバーブーツ ラバーブーツ 長靴 防水ブーツ レインシューズ パステルカラー】
おしゃれだなぁ。日本だなぁ。でも脱いだり履いたりがメンドクサそうだなぁ。
個人的な印象ですが、モスクワでは家にお邪魔したとき靴を脱ぐことが多いです。もちろん玄関のようなものがあることは少なく、ドアをあけるとすぐ廊下、だったり家の中だったりするのですが、それぞれ入り口にマットを敷いたりして、内履きが用意されていることが多いです(あくまで個人的印象)。
でも、少しお邪魔するときとか、外履きのままでいいよ、と言われ家の中に通されることもあります。こういうとき、靴がぬれていたりすると少し申し訳ないような気持ちになります。
でもそんなとき上の透明な靴を履いていれば、さっと脱ぐだけで気を使わず、相手にスリッパを出してくれとお願いすることもなく、スマートに第一歩を踏み出せる! なんだったら、自分の家の内履きのままこれを履いて外に出られる、すごい! とは当然思いません。
そのためだけに、この透明靴を受け入れる気にはどうしてもなれない。やっぱり北京の「頭傘」と同じです。
この鈍痛のような生温い衝撃を誰かと共有したく、ここに記した次第です。
ちなみに、この男性を見かけた後、目を皿にしてモスクワっ子の足元ばかり見ていましたが、二人目を見つけることはついぞ叶いませんでした。
(I)