僕らの間では彼を「人間カメラ」と呼ぶことが流行って
いるのだけれど、それは、イーゴリはいつもカメラを持ち
歩き、すごくたくさん写真を撮るし、そうしたときには彼
とカメラとが一体となっているからだ。モノクロ写真をイ
ーゴリはいつも自分の手で現像するのだが、後に、あるイ
ンタビューで読んだところによると、彼は躊躇なく古いフ
ィルムは切って捨てるようで、それについて彼自身は次の
ように言っている:「ごくありふれたことさ。フィルムで
の撮影を続けているから、新しく撮影したものをしまって
おく場所がなくなるからさ。僕は作業場を持ったことがな
いから、ネガやベタ焼きは全部、家にしまっている。古い
やつを廃棄すれば、さらに仕事が続けられるというわけさ
」。(中略)
イーゴリはドキュメンタリー写真の道を進んでいるとは
いえ、多面的な写真家だと思う。例えば、2011年には
「菜園」という展覧会が催された。そこでは、農家の自由
耕作地で育っている植物がおかしなラクルスで描き出され
ていた。これはまったくイーゴリの写真のもつイーゴリら
しさにはそぐわないのだけれど、ここに僕は、自分の枠を
飛び越えて更に歩みを進めようとする人の意志を見たのだ
。 現在、イーゴリは社会情勢に興味をもっており、現行の
政府に反対するミーティングやデモの様子、それと同様に
、さまざまな昔からある大衆イベントの様子をたくさん写
真に納めている。(by Konstantin Ladvischenko, photographer)
公式サイト
http://www.moukhin.ru/