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  • グスタフ・クルツィス(1895-1938)

    プロパガンダポスターは、革命期のロシアが生み出した最も斬新なヴィジュアル・イメージである。フォトモンタージュの技法を駆使し、大胆な対角線構図や簡潔な色彩によって強力なメッセージを発信するそのスタイルは、現在でも数多くのグラフィック・デザイナーによって参照されている。 中でも出色なのがグスタフ・クルツィスによって生み出された数々のポスターである。エストニア出身のクルツィスは、革命の波が押し寄せるモスクワとペテルブルクで青年期を過ごし、画家マレーヴィチの結成したグループ「ウノヴィス」に参加する。初期のコラージュにはマレーヴィチの影響が強く表れている。 クルツィスのモンタージュでは、まるで言葉を連ねて文章が創られるかのように、視覚的イメージの断片の組み合わせによってメッセージが伝達される。ポスター「レーニンの旗の下での社会主義建設」では、レーニンの背後にスターリンがオーバーラップされ、隙間にはトラクターやクレーン、工場の建物が浮かび上がる。これはもちろん、スターリンがソヴィエトの工業化、近代化を推し進め、レーニンの後継者であることを訴えている。ほかにも、レーニンとクレムリン前の群衆が二重露出によって重なり合い、両者が一体であることが示唆される。 (text)