ピンチュク・アートセンター(キエフ)/Pinchuk Art Centre (Kiev)
http://pinchukartcentre.org/
ウクライナの首都キエフの街の中心地にある現代アートセンター。
創設者のヴィクトル・ピンチュクは、数々の事業を手がける大実業家。2010年には『タイム』誌の「影響力のある人物100人」の”Thinker”部門で選ばれたという。ウクライナの国会議員も二期にわたってつとめたが、ビジネスと慈善事業に集中するためにやめたそうな。だから、この「アートセンター」も「ピンチュック・ファンド」の事業の一部というわけだ。
さて、「アートセンター」と書くと軽い感じがするし、実際、キエフっ子たちにとってオシャレスポットであることには間違いないが(おそらく。だって、一人で観に来ているお客さんなんてほとんどいなかったし、カップルはいちゃいちゃしすぎだし、まあ、美女と美男ばかり(はっきりいうが、ウクライナは美女だけじゃない。メンズもかなりいけてると思う。素材は)だから許す(いや、許さん)。で、なかなか面白かったのは、各展示室で見張っているのが、スーツをびしっと着たいかつい兄ちゃんたちだったこと(森美術館→イケメン・イケ女を揃える不自然さ、日本の国立美術館→清潔感のある、主に女性(年齢は多様)、ロシアの美術館→ほぼ年配のご婦人(暇そうなんでしばしば携帯をいじっている))。入口でもセキュリティチェックのようなもの(単なる手荷物検査)があって屈強な兄ちゃんがやっていた。あ、入場は無料。このレベルで無料はすごい。で、話を戻すと)、それはそれはボリューミーな「アートセンター」だ。さすが「中東欧で最大」を謳っているだけのことはある。縦長のビルの2−5階が展示スペースとなっていて、いわゆる「美術館」と比べれば量的には物足りなさを感じるが、それを補って余るくらい所蔵品や企画展のレベルは高い(と思う)。つまらない例で恐縮だが、最近まで森美術館でやっていた《LOVE展》の広告でよく見かけたジェフ・クーンズ作品は、このピンチュク所蔵のものだ。↓これですな↓
僕がいったときに開催されていた企画展《チャイナ、チャイナ》も、アイ・ウェイウェイを筆頭に、ヤン・フードン(好き)、スン・シュン、ジャン・ホァン、スン・ユァン+ポン・ユゥ(森美術館でみたときはピンとこなかったが、ピンチュクで展示(?)されていた近年の作品はとてもとても面白かった)などの作家と共に、おそらくは日本でお目見えしたことのないだろう(というのはネットで検索しても日本語のページがヒットしないということだけなのだけれど)作家たちの作品もたくさんあった。
所蔵品の展示のほうも、さっき記したジェフ・クーンズやダミアン・ハーストやオラファー・エリアソン、トーマス・ルフやアンドレアス・グルスキーなどなど、「うわ、すげー、でもちょっとなんだか恥ずかしい」感じの作品が並んでいた(でも、個人的に面白く観た作品もありました。たとえばこれとか。まあ、こういうの嫌いな人も多いでしょうが、同じようなパフォーマンスの中ではずいぶん迫力はあるような気がします)。
(↑これはセンターの入口前の歩道。ちなみに背景にある緑色の地に女の子っぽいものが描かれている看板のお店は、ずばり「スシヤ」)