現代文化に関しては、おしなべてモスクワの情報が多くなりがちです。
ペテルブルクびいきの八木が、ちょっと前に行ってきたことを踏まえ、ペテルブルクのシャレオツ・スポットを紹介し(ていき)たいと思います(本誌のほうでは別の書き手がモスクワを紹介してくれます)。
旅行ガイド程度に。今回はこれ!
Лофт-Проект ЭТАЖИ(Loft-Project Floors) http://www.loftprojectetagi.ru/
最寄りのメトロは、リゴフスキー・プロスペクト(Лиговский Проспект)。 ノリは渋谷。基本的には、展示スペースのコンプレクス。5階立て+屋上。入口や、上り下りするための階段は狭く、エレベーターもないので、あいかわらず老人には厳しいロシアの施設。個々の展示スペースの大きさはさまざまだが、それぞれ比較的広くとられている。 建物内にはオシャレカフェやバーが入っているが、ここの一つのウリは、三階のオープンテラスのカフェからの眺望にあるようだ(っつうか、この時期は寒すぎるって)。むしろ、多くの若人は、このオープンテラスに来るついでに展示を見る、という感じなんだろう。確かになかなか見晴らしはいい。とはいえ、僕は、後述する5階の展示室から眺めただけだが。 入口にあたる1階には、文具や小物も扱う本屋(品揃えはなかなかバカにできなかったが、価格も知っていた)、カメラ屋がある(基本的にカメラ屋なのだが、60-70年代の『Советское фото(ソヴィエト写真)』や写真のハウツー本なども無造作に置かれ、かつ二束三文で売られていた)。ちなみに、4階にも「プロジェクター」という小さな本屋が入っていて、デザイン関係と写真関係の品揃えが充実していた。 ハコはともかく、ここが面白いかどうかは、やはりそのときどきの展示によるだろう。基本的にはやはり現代アート。それぞれのスペースにそのままずかずかと入っていけばいいのだが、5階のもっとも大きな展示スペースにだけは、(僕が行ったときは)入場料をとられた(この施設で観た中でもっともしょーもない展示だったが)。 観覧した展示に関していくつか面白いものがあったけれど、ここで、4階でやっていたマルク・ペトロフ(Марк Петров (1933-2004))の展示についてだけ少し。1960-70年代に活躍したレニングラード(現・ペテルブルク)のインダストリアル・デザイナー。構成主義的な作風で、アエロフロートのマークや、レコード会社《メロディー》のレコードのジャケット、切手、お菓子の包み紙など、幅広く活躍した。こうしたデザインは、ソ連の市民生活に、ささやかながら確実に、彩りを与えていたことだろう。 http://progallery.org/galleries/exposition/203_mark_petrov_promgrafika.html