ユーリャが見つめたソチ――写真シリーズ「熱狂的なファンのパスポート」

いまだわれわれの記憶に新しいソチ・オリンピック。若き写真家ユーリャ・アブザルトジノワは変化するソチの街を見つめ続けていた。

ユーリャは若くからアート・ドキュメンタリー写真を志し、チェマダンでも紹介したロトチェンコ写真マルチメディア校やフォトデパルタメントで学んだ後、現在モスクワ、ソチ、ウラルで活動を続けている。そんなユーリャがある日突然チェマダン編集部にコンタクトをとってきてくれた。

今回はソチをとらえたシリーズ「熱狂的なファンのパスポート」をセルゲイ・チェバトコフの解説とともに紹介する。

ユーリャの写真に興味を持ったら彼女のホームページ(http://www.julia-abz.com/#!projects/c1oyp)を訪れてほしい。変貌するロシアの姿が見つかるかもしれない。

 

「ロシアの鏡の国を旅して」セルゲイ・チェバトコフ  

ルイス・キャロルのアリスが鏡の国に行くためには鏡を通り抜けるだけでいい。ロシアの街ソチでのロシアの新たなユートピア――第22回冬季オリンピック――の対等な参加者になるためには、「熱狂的なファンのパスポート」を手に入れればいい。

「熱狂的なファンのパスポート」シリーズは、かつてのソヴィエトの保養地から21世紀のオリンピックの中心地へと変貌した、ソチとその近郊で生じた変化を記録し探究した4年に及ぶ仕事の集大成である。そのシリーズが主に注目するのは「幸せなチケットを手に入れ」、国の歴史において重要なイヴェントのひとつにやってきたわがロシアの同胞たちだ。オリンピックの「鏡の国」にやってきたロシア国民は、革新的なテクノロジーによって建設され、現代風の隔絶された都市にいるのだ。それはコーカサスの山岳風景にいびつに描き加えられている。

「熱烈なファンのパスポート」は特別なオリンピックの身分証である。それによって持ち主はスポーツ施設を訪れ、特別なオリンピックの交通機関で街中を移動し、憩いと娯楽の場所を訪れることができる。

近年われわれの国には、ロシア国民や外国からの訪問者を喜んで受け入れるソチオリンピックの変化が象徴するはずだった、新しいイデオロギーがはたして生まれただろうか?キャロルの鏡の国でのように、新しいロシア政府という新たにはっきりとした形になるような神話を見ることはできない。レンズの前では、われわれの同胞たちが過去のソヴィエトやテレビのスクリーンから汲み取った、さまざまなロシアの現実のごたまぜが明らかになる。それらを結びつける唯一の要素が悪名高いロシアのトリコロールかもしれない。ソヴィエトのシンボル像となるもの、スポーツウェアブランドによって素敵に彩られたまがい物のロシア風シャツ、ヨーロッパのサッカーファンのコーン型ハットが空中降下部隊の旗と共存している。そしてこれらの中でもきわめつけは、ソヴィエト選抜チームをまねしたホッケー・ユニフォームとあの耳あてつき帽子を身に着けた人だ。これは全部苦笑いしてしまうことなのか?変なのか?ばかばかしいのか?もちろん、ノーだ!これは単に、現代のロシアがヨーロッパからもアジアからも全くかけ離れ、相変わらず、別の「鏡」を通っているふたつとないわが道を進んでいることの明白な証拠なのだ。

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