ロシア演劇界タイムライン(2022年2月24日-)第12週

凡例

タイムラインはテアトル誌を踏襲し、時系列を遡る形で記している(新しい情報が上)。

訳者による割注は〔〕で記している。

戯曲、小説、上演等の作品タイトルは内容を確認できていない場合、仮置きの日本語訳を記している。

人名におけるアクセントの音引きは、基本的には表記しない。

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ロシア演劇界タイムライン(2022年2月24日-)第12週

Театр.誌原文(第12週)

(翻訳:伊藤愉)

▶︎公開:6月10日12:25
▶︎更新:


2月24日、テアトル誌はウクライナ領の状況に関連するタイムラインの記録を開始した。

*Roscomnadzor(ロシア連邦通信・IT・マスメディア監督庁、Federal Service for Supervision of Communications, Information Technology and Mass Media)はロシア軍によるウクライナ各都市への砲撃やウクライナ民間人の犠牲関する情報、および進行中の作戦を攻撃・侵略・宣戦布告と呼ぶ資料は現実に即していないとみなしている。



5月18日

20.00. 
キリル・セレブレンニコフはカンヌ国際映画祭での自身の『チャイコフスキーの妻』上映前に「ノー〈Roscomnadzor(ロシア連邦通信・IT・マスメディア監督庁)〉」とロシア語で演説した。映画批評家のアントン・ドーリンがメディアで伝えているように、キリル・セレブレンニコフはまた、「〈Roscomnadzor〉を終わらせるために、芸術関係者たちはできる限りのことをしてほしい」と希望を述べた。


5月17日

14.30. 
ヴァシリー・ヴァシリコ記念オデッサ・アカデミー・ウクライナ音楽ドラマ劇場で、演出家のマクシム・ゴレンコがナタリヤ・ボロジビトの戯曲『サーシャ、ゴミを出して!』を上演するとのこと。リハーサルはプロジェクト「シェルター内の劇場」の一環で一月半に亘って行なわれた。舞台美術はユリヤ・ザウリチナヤ。メイン・キャストはアレクサンドル・サムセンコ、ニネリ・ナトチナヤ、インナ・ブリボトコ。劇場のチケット販売が可能になり次第、第一回の上演が実施される予定である。ウクライナ人劇作家ナタリヤ・ボロジビトの戯曲は2015年に書かれ、〔ロシア人演出家の〕ヴィクトル・ルィジャコフが同年にモスクワのメイエルホリド・センターで上演している。物語は、妻と娘が供養の食卓を整えている時に、家族の夫であり父である男性戦地に赴くためにあの世から帰ってくるという内容である。


5月16日

21.20. 
演出家セルゲイ・レヴィツキーの弁護人で人権擁護者のナジェジダ・ニゾフキナは裁判所から45,000ルーブルの罰金が科される。これに先立って、レヴィンスキー自身が有罪判決を上kた行政法違反の罪で起訴されていた。罰金の額も同じになった。この件はセルゲイ・レヴィンスキーがテレグラム・チャンネルで報告している。
レヴィツキーはSNSへの投稿における「ロシア軍の信用失墜」(刑法20条3.3項)の罪に問われていた。4月28日には、ウラン・ウデのソヴェツキー地区裁判所が行政法違反の判決を下し、レヴィツキーに罰金を科している。

21.10. 
ヴァフタンゴフ劇場前芸術監督のリマス・トゥミナスが2021年の文化領域におけるロシア政府賞受賞者一覧から除外。本措置には首相のミハイル・ミシュスチンが署名した。この措置は、法令情報の公式ポータルサイトに掲載された。
リマス・トゥミナスは『オイディプス王』の演出で受賞していた。


5月13日

20.00. 
演出家のニキータ・ベテフチンはロシアを去った。「ロシアを離れる。後悔はまったくない。演劇の演出家としてのキャリアと劇場にZへの忠誠を誓わせる体制の目論見を潰してやること。どちらを選ぶかは明らかだ。刑務所と強いられた亡命の狭間で、僕は世界を放浪することを選んだ。テレグラム・チャンネルは続けるし、学生たちにむけたオンラインのレクチャーは続ける……いつかは稽古も始める、まだ言うべきことがあるはずだから」とベテフチンはSNSに投稿した。
この1ヶ月間ニキータ・ベテフチンはウクライナにおける「特別作戦」を支持する劇場のリストを作成し、演劇関係者にそうした劇場と協働しないよう呼びかけていた。
最近ドラマ芸術学院と統合されたメイエルホリド・センターは同演出家の作品『クリスマス』の5月の上演を中止し、サイトから作品ページを削除した。同様にスタニスラフスキー・エレクトロシアターではベテフチンの作品『ロナルドはおばあちゃんには追いつけない』が中止された。この作品の初演は4月22日に予定されていたが、エレクトロシアターのサイトの演目スケジュールではその予定が外され、イベントニュースのページからは「チケット購入」のアイコンが消されている。

8.30. 
軍人が「プーシキン・カード」*を使えるようになる。ロシア文化省が伝えた。特別教育機関で学ぶ14歳から22歳の軍人が対象になる。従来は、軍事組織における業務の特性を理由に利用できなかった。
〔*プーシキン・カード:14歳から22歳を対象とした国内の文化施設・イベントを無料で利用できるカード。2021年9月に施行〕


5月12日

13.45. 
ブリャンスクの各劇場は破壊されたマリウポリの劇場の再建を援助する。ロシア演劇人同盟現地支部局と市内の各劇場はそのような構想を打ち立てた。5月25日に彼らは『狂った1日あるいはフィガロの結婚』をトルストイ記念ブリャンスク・ドラマ劇場でチャリティ上演する。チケットの売り上げは、特別軍事作戦の結果激しく損傷したマリウポリのドラマ劇場再建にあてられる。



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