ロシア演劇界タイムライン(2022年2月24日-)8ヶ月目

凡例

タイムラインはテアトル誌を踏襲し、時系列を遡る形で記している(新しい情報が上)。

訳者による割注は〔〕で記している。

戯曲、小説、上演等の作品タイトルは内容を確認できていない場合、仮置きの日本語訳を記している。

人名におけるアクセントの音引きは、基本的には表記しない。

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ロシア演劇界タイムライン(2022年2月24日-)8ヶ月目

Театр.誌原文(8ヶ月目)

(翻訳:守山真利恵、伊藤愉)

▶︎公開:10月30日22:40
▶︎更新:10月31日18:38、11月16日1:40


2月24日、テアトル誌はウクライナ領の状況に関連するタイムラインの記録を開始した。

*Roscomnadzor(ロシア連邦通信・IT・マスメディア監督庁、Federal Service for Supervision of Communications, Information Technology and Mass Media)はロシア軍によるウクライナ各都市への砲撃やウクライナ民間人の犠牲関する情報、および進行中の作戦を攻撃・侵略・宣戦布告と呼ぶ資料は現実に即していないとみなしている。


編集部は週ごとのタイムラインを月ごとのタイムラインに切り替えることに決めた。だが、私たちは近いうちにこうしたタイムラインを公開する必要がまったくなくなることを望んでおり、それを信じている。


10月21日

19:50. 
サンクト・ペテルブルグ国際文化フォーラム2022は中止に。タス通信がロシア文化省の発表を引用して報じた。記事では同省のコメントも掲載されている。「現況では、ロシア文化省はフォーラムの開催は適切だとは考えておらず、その中止を発表せざるを得ません。私たちは、ロシアの文化人たち、その代表者たち、専門家たち、そして国外からの参加者たちが、来年にはサンクト・ペテルブルグ国際文化フォーラムのホスピタリティ溢れるプラットフォームに集えることを望んでいます」。今年のフォーラムは、パンデミックを経て、11月10日から12日にかけて2年ぶりに開催される予定だった。

14:00. 
〔作家〕ボリス・アクーニンの名前が主要都市の劇場(モスクワのロシア・アカデミー青年劇場とペテルブルグのアレクサンドリンスキー劇場)のポスター〔のクレジット表記〕から外される。
アクーニンはSNSで青年劇場の芸術監督アレクセイ・ボロヂンが連絡をとってきて、文化省が彼の名前をポスターから外すよう求めたと述べた、と公表した。
アクーニンは次のように書いている。「正直、私は最初声を出して笑ってしまった。作者名のないポスターという考えがとても可笑しかったからだ。「民話」じゃないか。しかし、アレクセイ・ヴラジミロヴィチ〔・ボロヂン〕は、明らかに面白くなさそうだったので、私はこう答えた。「あなたの良いようにしてください」と」。アレクセイ・ボロヂン自身の演出による『エラスト・ファンドーリン』、『陰陽 白版』、『陰陽 黒版』はこのようになった。同様にアレクサンドリンスキー劇場のサイトの、先日幕があけたばかりのヴァレリー・フォーキン演出『1881』のページからもアクーニンの名前は消された。
ボリス・アクーニンは次のように書いている。「私は一層とすすむ国家の錯乱に〔方針を〕合わせていかなければならない劇場らを非難するつもりはない。今日のロシアにおいて文化に携わるということは、大変なことであり、硫酸のなかを泳ぐようなものだ。各劇場を率いている人々に同情する(もちろん、率先して門下に下ったようなのはべつだ)。いまやっていることが自身への評価を損なうことよりも重要だと誰かが判断したのであれば、これは劇団員でも観客でもなく、他ならぬその人自身が苦しむことになるような辛い選択である。
私にとってロシアの観客たちは大切な存在だ。だからこそ、私の名前が消された作品がレパートリーから外されることを望まない。いまのところ、それらの作品は完全に禁止されているわけではないのだから、上演すればよい。無料でもよい(アレクサンドリンスキー劇場が、制裁のために著作権料を払えない、と謝罪とともに伝えてきたとき、私は「大丈夫、問題ない」と答えた)。私は幾度となく講演や外国メディアのインタビューで、「ロシアへの文化的ボイコットは間違っている」と書いたり話したりしてきた」。
ロシア文化省はタス通信に次のようにコメントしている。「困難な時にロシアを捨てた文化人たちや公にこの国の文化に反対しているしている人々は、「この上なくロジカルに」公立の文化施設のポスターから立ち去っている。これは社会的な要請である」。
これに先立って、各劇場の演目ポスターから劇作家のミハイル・ドゥルネンコフとアーシャ・ヴォロシナ、演出家のドミトリー・クルィモフ、俳優のユーリー・アウグをはじめとする、ロシアを離れたり特別軍事作戦に反対を表明した演劇人たちの名前が消され始めている。マリインスキー劇場のサイトでは、アレクセイ・ラマンスキーのバレエから、その創り手の名前が除かれた。


10月20日

22:00. 
ツルゲーネフ記念オリョール国立アカデミー劇場俳優のセルゲイ・グネドフが召集され、軍事行動区域に送られた。劇場ディレクターのエレーナ・カザコヴァが公表した。グネドフが召集されたのは、オリョール劇場がロペ・デ・ベガの戯曲『控えめな恋人(La discreta enamorada)』で参加するはずだった演劇祭「ヴラジミル・ゼリヂンの故郷にて」が行なわれるミチュリンスクへのツアー直前だった。グネドフなしに予定されていた作品の上演はかなわないため、ツアーの上演演目のタイトルは『狂おしき一日、あるいはフィガロの結婚』に変更された。
ニュースサイト「ヴェスチ・オリョール」で公開された動画でエレーナ・カザコヴァは次のように語っている。「アカデミー劇場がここで上演するのは予定されていた作品ではありません。というのも、文字通り出発の三日前に劇場のメンバー4人が召集令状を受け取り、そして昨日にはここに持ってくるはずだった『控えめな恋人』の主人公を演じているセルゲイ・グネドフが特別軍事作戦に行ってしまったのです。私たちは彼をとても愛しています、私たちは彼をとても信じています、そして彼が勝利とともに戻ってくることをとても望んでいます」。
オリョール劇場の俳優たちがフェスティバルに参加しているとき、彼らの劇場ではルスペカエフ記念ルガンスク・アカデミー・ロシア・ドラマ劇場がツアー公演を行っていた。彼らはロシアの古典であるオストロフスキーの『森林』とレスコフ原作の『左利き』を上演した。


10月19日

13:00. 
劇作家のアレクセイ・ジトコフスキーは自身のSNSで、FSBから尋問を受けていると投稿した。「過激派の疑いがあるとのこと。妻との連絡は取れない。携帯電話は没収された」。劇作家は上演準備をしていたハンティ・マンシースクで拘束された。彼の妻も同時に拘束されたが、彼女は程なくして釈放され、ニジネヴァルトフスクの彼らの住居が捜索された。ロシア内務省および連邦捜査委員会の報道窓口が地元メディアの照会に応じたところによると、両機関は捜索には無関係で状況を把握していないとのこと。


10月17日

16:40.
モスクワのガガーリンスキー地区裁判所は、アルトゥル・スモリヤニノフを行政法違反で登録。同俳優はロシア刑法第20条3.3項の罪(ロシア連邦の軍隊を用いることへの信用失墜を狙った公的な行動)で起訴された。裁判所は、何が起訴の根拠となったかは明示していない。これ以前、スモリヤニノフはウクライナにおける軍事行動に関して鋭く発言しており、10月13日にはロシアを出国したことが明らかになっていた。公判は10月20日に行なわれる。


10月16日

00:05. 
モスクワ市立マヤコフスキー 劇場の上演演目からトーマス・ベルンハルトの戯曲『安息〔原題:Vor dem Ruhestand〕』に基づいたミンダウガス・カルバウスキス演出作品『家族のアルバム』が外された。本作は11月19日に上演されるはずだったが、現在劇場サイトでは上演日時は明記されておらず、各種チケット販売サイトでも購入することができない。作品が「再び閉じられた」ことに関して、カルバウスキス自身がSNSで公表した。
4月には様々なテレグラム・チャンネルや主要テレビ局は、モスクワ市立マヤコフスキー劇場はナチズムを扇動していると糾弾し、ミンダウガス・カルバウスキスの『家族のアルバム』には反ロシア的表現があるとみなした。劇場は批判者たちに対して、トーマス・ベルンハルトの戯曲『安息』は反ファシスト的で平和的な戯曲作品の一つであると釈明した。その後、エヴゲニヤ・シモノヴァ、ミハイル・フィリッポフ、ガリーナ・べリャエヴァが参加する同作品は、その後レパートリー に復帰していた。


10月15日

17:20. 
ミュージシャンのアンドレイ・レシェチンは、ウクライナとの軍事行動が行なわれている地域のロシア軍に志願することを表明。フォンタンカ紙(«Фонтанка.ру»)のインタビューで、レシェチンはこの決断を、ペテルブルグの文化委員会からの支援なしには自分の人生で重要なことができないからだと説明した。アンドレイ・レシェチンは、〔バンドの〕「アクヴァリウム」の元ヴァイオリニスト、国際音楽フェスティバルEARLYMUSICの共同創設者(1988)・芸術監督、古楽アンサンブル「エカテリーナ二世のソリストたち」芸術監督である。
「文化委員会はフェスティバルに一コペイカも出さず、私の仕事は完全にダメになった。私の仕事は基本的に、仕事がある場所にいき仕事をするというものだ」とレシェチンはフォンタンカに語った。「このような大変な時に文化を率いているのが、自分のことしか考えない、非常に器の小さい人間たちだというのは、極めて不幸なことだ。重要なのは、恐れを抱く場所にこそ精神の本質があるということだ」。今年のEARLYMUSICフェスティバルは、レシェチンによれば、彼個人は欠席し、オンライン・フォーマットで実施されるという。聴衆には、25年の開催期間で集められたユニークなアーカイヴが提供される。


10月14日

5:49. 
劇場関係者の動員が続き、その活動が脅かされている。とりわけ、ヤクーツク・ロシア劇場の関係者の大量動員に関する情報が多くのSNSで報告されている。劇場はSNSで次のように回答している。
「不正確な情報が拡散することを避けるためお知らせします。たしかに昨日、10月13日に我々の劇場の、俳優を含むいく人かが召集状を受け取りました。若い俳優たちや技術スタッフたちです。あるものは照会中で、あるものは3時間以内に召集所に出頭するよう指示されています。
もちろん我々の同僚が召集されるということはそれが誰であろうと、劇場にとっては重大なことです。我々は、劇場が整備済みの機械のように機能するよう、長年に亘って各部門を整えてきました。当然ながら、これは私たち全員にとって初めての体験です。ロシアの劇場は、共和国の演劇的・興行的施設の一つとして、部分的動員の際には免除候補となりますが、それでも私たちはみなロシア連邦の市民であり、法律はみな同じです。
今朝、同僚たちが召集事務局に行きました。何人かの俳優たちは既に劇場に戻ってきており、彼らがまた召集されることはありません。これを書いているいま現在、彼らは劇場で行なわれているリハーサルに参加しています。それ以外の同僚たちからの情報は、待っているところです。召集事務局とは連携しています」。


10月13日

19:45.
ペンザ州立ルナチャルスキー・ドラマ劇場でドンバス地方の義勇兵に関する作品が上演される。2023年5月に初演が予定される本作に関しての情報を劇場がHPで公開した。上演は小規模の座組みで小舞台で行なわれる。
アナウンスでは次のように語られている。「これは偶然ドンバス義勇軍の前線にある一つの塹壕に居合わせた、我らの同胞である3人の義勇兵である退役軍人、若いプログラマー、若い看護婦に関する物語である。彼らは普通の人々で、その運命は人生には常に英雄的行為の機会があることを改めて証明している」。
芝居のもととなった小説『ZoV 三つの物語』はヴィクトル・ブシミンの著作である。彼は中世フランスの騎士や統治者を描いた冒険小説三部作『呪われた王たちの時代』の作者でもある。脚色は劇場の文芸部主任のヴィタリー・ソコロフが担当する。演出は、ペンザ州立ドラマ劇場の俳優・演出家で、舞台芸術大学(GITIS)演出学部の通信学生のニキータ・クジンが担当する。
8月31日、「公正ロシア— 真実のために」党代表で、先日組織された文化界における反ロシア活動調査グループの責任者のドミトリー・クズネツォフは「2014年春から現在に至るまでのドンバスでの出来事をテーマとした」(「ウクライナ軍と民族主義的大隊(нацбатальон)らから自分たちの土地と平和的市民を守るための義勇兵の功績についてなども含む」)新しいレパートリー作品に関する議員要望書を提出していた。
UPD. 10月14日、同劇場はSNSでの告知を更新し、来るべき上演に関して次のように発表している。「小舞台での上演は若手演出家が担当する。それが誰かは追って公表する」。劇場HPではニュース欄では加筆修正はなされていない。

15:00.
俳優のアルトゥル・スモリヤニノフはメディアサイトのメドゥーザ*(ロシア国内で外国エージェントに指定)に、ロシアを離れたと語った。それによれば、カテリナ・ゴルデエヴァ(ロシア国内で外国エージェントに指定)へのインタビューの際、彼はウクライナでの軍事行動に対してネガティヴな発言をし、その後、ロシア国内での仕事量が減少した一方で、国外からの新しいオファーが届いていたという。現在、彼はアメリカのプロジェクトに参加し、このために1ヶ月半ほど国を離れている。

*ロシア司法省はメドゥーザを外国エージェントメディアのリストに、カテリナ・ゴルデエヴァは個人の外国エージェントリストに登録している。


10月12日

16:40.
エルモロヴァ劇場の上演予定演目から現代ロシア詩に基づく『…新しい空白の頁( «…страницы новой ПУСТОТЫ»)』が外された。現時点で、チケット購入のボタンを押すことができない。上演中止と変更の理由に関する公式のアナウンスは劇場のHPでもSNSでもなされていない。
オレシャ・ネヴメルジツカヤ演出作品は10月22日に幕を開けるはずだった。本作は2014年に、第一次亡命期の作家たちの詩と散文に基づく『空白から……(8人の詩人たち)(«Из пустоты… (восемь поэтов)»)』の続編となっていた。新しい作品は現代詩人たちの作品に基づいており、その中にはウクライナにおける軍事行動に反対を表明していた作家たち、リノル・ゴラリク、ヴェラ・パヴロヴァ、アレクサンドル・デリフィノフなどが含まれていた。上演に関する情報はいくつかの匿名テレグラム・チャンネルや劇場のSNSのコメントでの憤激を呼び起こしていた。


10月10日

23:42.
ニジニ・ノヴゴロドの独立系演劇フェスティバル「シアター・アロー( «Театральная Стрелка» )」で予定されていたジェニャ・ベルコヴィチ演出作品『美しき鷹フィニスト』(シアター・カンパニー「ソソの娘たち」)の上演が理由の説明なしに中止された。中止に関しては上演前日の夜遅くに、企画団体の演劇技芸センター(Центр театрального мастерства)のSNSで告知された。
これに先立って、いくつかの匿名のテレグラム・チャンネルに、『美しき鷹フィニスト』は「テロを正当化している」と告発する投稿がなされていた。上演のもととなったスヴェトラナ・ペトリイチュクの戯曲は「真実の愛」を求めて旧ソ連の国々からイスラム系武装集団に行き、囚人の立場となって祖国に戻ってきた女性たちに関する実際の判決文と尋問の速記録に基づいている。ベルコヴィチは次のように語っている。「私たちが取り上げたのはまったく簡単ではないテーマで、そこでは登場人物たちに共感し、理解を示し、同情し、究明することがこの上なく難しいのです。このすべては、人に、女性に何が欠けているのか、なぜ彼女は人生を丸ごと賭け、男性ではなく画面に映る状況を信じ、遥か彼方まで自らのフィニストを追い求めていこうとするのかを理解するためにあります」。
『美しき鷹フィニスト』は2022年のゴールデンマスク賞の2部門(劇作家賞と衣装賞)で受賞した。
「シアター・アロー( «Театральная Стрелка» )」は数少ないロシア国内の独立系演劇フェスティバルの一つで、今年は開催第二回目。『美しき鷹フィニスト』はフェスティバルのコンクール・プログラムに参加する5演目のうちの一つだった。


10月5日

13:53.
ノヴォシビルスクの「クラスヌイ・ファケル」劇場のディレクターであるアレクサンドル・クリャビンとロシア演劇人同盟の地元支部は「ノヴォシビルスクの劇場をコンサート団体をドンバスへ」というチャリティ・アクションの実施を宣言した。このイベントには、ノヴォシビルスク管弦楽団、シベリア・ロシア民族合唱団(シベリア・コンサート)、歌舞アンサンブル「チャルドヌィ」、青年ドラマ劇場「辺境 «На окраине»」(カラスク市)、俳優組合「月曜日」、創作協会「俳優会館」、そしてノヴォシビルスク青年劇場「グローブス」とシアター・カンパニー「ガンマ」が参加する。
10月6日から11月15日まで一連のチャリティ上演およびコンサートが実施される。その収益はすべてドンバス地方の演劇・コンサート活動の復興に充てられる。本イベントは、ノヴォシビルスク管弦楽団で実施されるフェスティバル「デニス・マツエフ・プレゼンツ:世代間の対話」のプログラムに含まれるガラ・コンサートで幕を開ける。
クラスヌィ・ファケル劇場は『レインメーカー(«Продавец дождя»)』、『センチメンタル・テクトニクス(«Тектоника чувств»)』、『かもめのジョナサン』、『モスクワ発ペトゥシキ行き』で参加する。


10月3日

12:10.
10月3日のソヴレメンニク劇場での〔ポーランド人演出家〕ベンヤミン・コーツ演出作品『最初のパン«Первый хлеб»』が『The Gin Game』に変更された。本情報は前日に劇場のSNSで発表された。ソヴレメンニクの代表者たちは『アフィシャ・デイリー』紙のインタビューで、その理由を『最初のパン』のキャスト変更があり、新しい俳優の準備が間に合わなかったためだと述べた。『ソヴレメンニク』で確認されたところによると、この措置は以前のキャストが動員されたこととは関係がない。『最初のパン』の次の上演は10月17日に行なわれる。
『最初のパン』が初演の幕を開けてすぐ、公共団体「ロシアの将校たち」が、主人公役のリヤ・アヘドジャコヴァのモノローグをはじめとして、退役軍人への侮辱が見られると、検察庁とモスクワ市役所に宛てて苦情を申し立てていた。ウラル地方の劇作家リナタ・タシモフの戯曲に基づく『最初のパン』では、世代をまたいで前線で家族を失ってきたあるタタール人家族の歴史が物語られる。主人公であるヌリヤお婆ちゃんは、孫が兵役で「激戦地」に行こうとするのを止めようとする。


10月2日

11:43.
プスコフ・アカデミー・プーシキン・ドラマ劇場は、プスコフ第76親衛空挺師団の軍人たちを支援するために資金を供与する。
劇場のプレス・リリースでは次のように書かれている。
「親愛なる観客の皆さん、同僚の皆さん! 
私たちは各作品の上演5回目のチケット収益を、特別軍事作戦に参加する軍人の支援に充てることにしました。
この処置には、劇場芸術監督のドミトリー・メスヒエフがサインしています。
私たちのアクションが、国家機関のみならず、我が国の運命に関心を寄せている各民間企業からも支えていただけることを望んでいます」。


9月28日

16:21.
アンドレイ・ズヴャギンツェフはロシア映画人同盟およびその他の映画組織(金鷲賞、ニカ賞)からの脱退を表明。RBK紙が同映画監督の表明を引用して報じた。これ以前、ズヴャギンツェフはパーヴェル・チュフライ、ニコライ・ドスタリ、ヴラジミル・コット、ヴェラ・ストロジェヴァとともにロシア・オスカー委員会を脱退していた。その理由は、ロシア映画芸術科学ナショナル・アカデミー幹部会がロシアから「オスカー賞〔アカデミー賞〕」に出品しないことを決定したためだという。同情報は9月26日にロシア映画アカデミーのサイトで公表されていた。
「私がオスカー委員会を辞めたのは、同委員会委員長のパーヴェル・チュフライがその手紙で書いた理由とほぼ同じです。自分が代表を務める組織が、今年はロシアから映画を出品しないという発表をすでにしたことを報道で知ったとき、そうした決定を勝手に下した人々が、政治的であれ、道徳的であれ、美学的であれ、いかなる考えにも左右されないというのであれば、これは、自分たちが状況に目を配り、自覚的に決めれば十分であると傲慢になっている委員会いく人かの役職者たちによる許しがたい身勝手な決定です。委員会組織は20人ほどで構成されていて、そのほとんどが実際のところ新聞からこのことを知りました。(中略)私が脱退するのは前述の組織だけではありません。私の公的な声明は、ロシア映画人同盟、金鷲アカデミー、ニカ・アカデミーなど、そのほかの組織にも及ぶものです。私がロシア人監督、ロシア国民であることは変わりませんが、誰かに運命的な決定を下すようなアカデミーやその他の会員特権は持たないことにします」。

11:30.
ロシア国内の社会経済状況に関する情報のためのオフィシャル・インターネット・リソース«Объясняем.рф»(https://объясняем.рф)は「文化人、バレエ・ダンサー、俳優、歌手たちは動員されるか」という質問に対して、「各文化施設で特定の役職になく、彼らがロシア軍予備役で、延期するような健康上の理由もない場合、動員されうる」と答えた。
俳優らを含む劇場スタッフにも、部分的動員の宣言がなされた直後から召喚状が届き始めている。とりわけ9月23日には、”アムールのコムソモリスキー”(Комсомольский-на-Амуре)・ドラマ劇場がSNSで「私たちの劇場の優秀な三名が軍兵役に行った。俳優のイヴァン・ベクバエフ、音響監督のキリル・アントノフ、劇場のチーフ・エンジニアのヴァシリー・ヂヤチコフである」と公表した。


9月26日

19:50.
ロマン・ヴィクチュク劇場のファサードから『死せる魂』のバナーが取り外された。テレグラム・チャンネルの「モスクワよ、気をつけて」が報じている。
ロマン・ヴィクチュク劇場では9月24日から10月9日までの全上演が「技術的理由」という公式の発表のもと中止となり、劇場建物内には召集事務所が設置された。動員された人々や彼らを見送りに来た人々はバナーに目をやっていた。テレグラム・チャンネルの投稿では、ある召集兵の友人の言葉が引かれている。「今日、ストロムィンカ通りにあるロマン・ヴィクチュク劇場に軍事委員部から召集された人々が、今後ナロ・フォミンスクに送られるために集められました。この劇場の壁面にかけられたバナーとともに、私たちは青年たちを見送ったのです。皆がこの場面を写真に撮り始めました」。
ゴーゴリの物語詩に基づいた『死せる魂』は、デニス・アザロフがロマン・ヴィクチュク劇場芸術監督として演出した最後の作品となった(彼は劇場を4月26日に辞めた)。初演は2022年2月21日22日に迎えていた。

16:00.
一時的な措置としてヴォルコフスキー劇場の芸術監督の職務には同劇場ディレクターのゲルマン・グロモフが任命された。文化省からの指令書のスキャン画像を劇場はSNSに公開している。
2019年から劇場を率いていたセルゲイ・プスケパリスは9月20日、ドンバスに向かうはずだった装甲されたFord Transitで交通事故に遭い、亡くなった。ゲルマン・グロモフは今夏にヴォルコフスキー劇場ディレクターに就任し、彼の前任者のアイラト・トゥフヴァトゥリンはモスクワ芸術座に移っている。

11:09.
ウラン・ウデのベストゥジェフ劇場の芸術監督にヴャチェスラフ・ヂヤチェンコが就任する可能性。
「ノヴァヤ・ブリャチヤ〔ブリヤート〕」紙が、ブリヤート共和国文化大臣のソエルマ・ダガエヴァの言葉を引きながら報じた。「ヴャチェスラフ・ミハイロヴィチ〔ヂヤチェンコ〕すでにブリヤートに来て、私たちは劇場にいき、あらゆる問題を話し合い、予備的な同意を得て、現在彼の決断を待っているところです。彼の就任に関する省令はまだです」。
ヴャチェスラフ・ヂヤチェンコは1981年にエレヴァンのスタニスラフスキー記念スタジオ学校を卒業した。1979年から2000年まで国立スタニスラフスキー記念ロシア・ドラマ劇場(エレヴァン、アルメニア)で俳優として活動。2000年から2001年はГ. コンスタンチノフ記念アカデミー・ロシア・ドラマ劇場(ヨシュカル・オラ、ロシア)に所属。2001年から2002年はモスクワのゴーゴリ劇場で俳優として活動した。
2002年から2010年はモスクワの劇場「モデルン〔モダン〕」で俳優として活動し、主任劇団員、創作部門で芸術監督補助を務めた。
ブリヤート共和国文化省はベストゥジェフ劇場の前芸術監督セルゲイ・レヴィツキーとの契約を期限前の2022年3月23日に解消した。またセルゲイ・レヴィツキーはSNSへの投稿を理由に、「ロシア軍の信用失墜」の罪で、二度の罰金を科されている。



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