ロシア演劇界タイムライン(2022年2月24日-)26ヶ月目

凡例

タイムラインはテアトル誌を踏襲し、時系列を遡る形で記している(新しい情報が上)。

訳者による割注は〔〕で記している。

戯曲、小説、上演等の作品タイトルは内容を確認できていない場合、仮置きの日本語訳を記している。

人名におけるアクセントの音引きは、基本的には表記しない。

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ロシア演劇界タイムライン(2022年2月24日-)26ヶ月目

Театр.誌原文(26ヶ月目)

(翻訳:伊藤愉)

▶︎公開:2024年9月20日19:50
▶︎更新:


2月24日、テアトル誌はウクライナ領の状況に関連するタイムラインの記録を開始した。

*Roscomnadzor(ロシア連邦通信・IT・マスメディア監督庁、Federal Service for Supervision of Communications, Information Technology and Mass Media)はロシア軍によるウクライナ各都市への砲撃やウクライナ民間人の犠牲関する情報、および進行中の作戦を攻撃・侵略・宣戦布告と呼ぶ資料は現実に即していないとみなしている。


編集部は週ごとのタイムラインを月ごとのタイムラインに切り替えることに決めた。だが、私たちは近いうちにこうしたタイムラインを公開する必要がまったくなくなることを望んでおり、それを信じている。


4月23日

09:06.
ヴォロネジでの第8回プラトーノフ芸術祭は6月6日に予定されていたエリザヴェタ・ボンダリとネイションズ劇場の作品『マクベス』の上演を中止に。企画者の発表によると「技術的理由」によるもの。これ以前には芸術祭の演目からカザンの劇場MON(MOÑ)の『ディアローグ( «Әңгәмә / Диалог»)』(演出:ロマン・フェオドリ、振付:ヴラジミル・ヴァルナヴァ)が説明なく中止となっていた。


4月22日

14:00.
4月22日、〔モスクワの〕ロシア・アカデミー青年劇場の大舞台で、「ドネツク・ロシア・アカデミー青年劇場」の『鉱夫の娘』が上演される。これは、アンナ・レヴャキナ同名の物語詩が原作となっている。この作品はドネツク出身の同詩人の最も有名なテキストで、2016年に書かれたその時期の2年間を扱った内容である。作品概要は次のように書かれている。「2014年のドネツクをめぐる戦闘で父親が亡くなったとき、マリヤは22歳だった。マリヤは前線に出ることを決め、スナイパーになる。これは、戦争が人々を打ち砕き、人間として踏みとどまることがいかに難しいかを描いた物語である」。マクシム・ジダノヴィチ演出の同作の初演は2022年3月27日に予定されていたが、ウクライナでの軍事衝突が始まったことにより、実現したのは2024年2月になってからだった。しかし、『鉱夫の娘』はすでに、文化創造大統領基金(ПФКИ)と連邦プログラム「グランドツアー」の支援で大規模なツアープログラムを控えており、クリミアを含む20都市以上での上演が計画されている。タス通信でのプレス・カンファレンスで、ロシア・アカデミー青年劇場ディレクターのソフィヤ・アルフェリバウムは、両青年劇場の交流はすでに2022年以前からあり、ウクライナでの軍事行動が始まった後もさまざまなレベルで継続してきたと述べた。とりわけドネツクの劇場はすでに〔モスクワの〕青年劇場の小舞台で作品を上演しており、モスクワのほうもドネツクの劇場のためにワークショップを実施してきた。


4月19日

16:30.
4月19日から26日にアメリカのメリーランド大学の劇場The Clarice Smith Performing Arts Centerで、ミハイル・ドゥルネンコフの戯曲『戦争はまだ始まっていない』に基づくユーリー・ウルノフ演出『Are We At War Yet?』が上演される。
イベントの概要では、このテキストは「戦争の脅威やプロパガンダの心理的影響など喫緊の問題を探る実にロシア的な物語である。この暗い喜劇は、家族や社会の構成員を結びつける糸が蜘蛛の糸ほども太くなく、容易に切れてしまうことを観客に見せる」と書かれている。メリーランド大学で上演を続けてきたユーリー・ウルノフは、すでに長らくアメリカで演出家、教師として働いており、さまざまな戯曲を英語からロシア語、ロシア語から英語に翻訳している。ミハイル・ドゥルネンコフの戯曲『戦争はまだ始まっていない』は2015年に書かれ、ヨーロッパ各国で上演されてきた(とりわけ、英国、ラトヴィア、リトアニア)。ロシアでは、モスクワの劇場「プラクチカ」で2018年にセミョン・アレクサンドロフスキーが初めて上演した。同年に〔戯曲〕フェスティバル「リュビモフカ」で同テキストを用いたオーディオ・スペクタクルが作られた(演出家のアレクサンドラ・ヴァルタノヴァが始めた企画「ステレオ・シアター」)。ミハイル・ドゥルネンコフは上演に向けて本誌編集部にコメントを寄せている。
「舞台は国際空港のような空間、戯曲の物語の一つは出発ロビーで起こる。不明の事故の結果、明かりが消え、登場人物たちは過去と未来という世界の狭間にいることがわかる。それはアメリカ社会が大統領選挙を前にしたときのようでもある。しかしこうしたメタファーは今日多くの社会の状態に当てはめることができ、それはロシアも例外ではない」。


4月16日

22:30.
ペテルブルグで検察の要請により、4月17日から23日にPart Academy広場で実施されるはずだったアルチョム・トミロフとイヴァン・デミトキンのフェスティバル「フルプキー〔フラジャイル〕」が中止に。
「事実関係は以下の通りです。本日、検察職員がPart Academyを訪れ、「フルプキー〔フラジャイル〕」フェスティバルとの会場利用契約を破棄するよう依頼した。そのためフェスティバルは中止となります」とアルチョム・トミロフが同企画のSNSアカウントで語った。チケット代金は観客に返却される。
パフォーマンス演劇フェスティバル「フルプキー〔フラジャイル〕」はデミトキンとトミロフが2024年はじめに設立した。はじめに同フェスティバルは2月にモスクワで行なわれた。これに関しては、クリスチナ・マトヴィエンコが執筆した資料が以下のリンク先にある。フェスティバルでは、ロシアに住んでいる作家も、国外に出た作家も同じように作品を創作していた。そのほか、プログラムにはさまざまなレクチャーやトークが含まれていた。

18:22.
4月26日、リガの書店NOVAYA RIGAでスヴェトラナ・ペトリイチュクの戯曲『美しき鷹フィニスト』のロシア語での朗読が実施される。出演者は俳優のディタ・ルリニャ(Dita Lūriņa)、ユリヤ・アウグ、ギルツ・クルーミンス、プロデューサーのエヴゲニヤ・シェルメニョヴァ。この朗読はスヴェトラナ・ペトリイチュク(4月22日)とジェーニャ・ベルコヴィチ(4月29日)の誕生日に合わせて実施される。
約1年前の2023年5月4日にベルコヴィチとペトリイチュクは拘束された。拘束の理由となったのは、ネットで急進的イスラム主義者たちと知り合い、シリアにいる彼らのところに向かう女性たちの物語であるスヴェトラナ・ペトリイチュクのドキュメンタリー的戯曲に基づいたベルコヴィチの作品『美しき鷹フィニスト』である。ロシア刑法205条2項205条2項「テロ活動実施への公的な呼びかけ、テロリズムの公的な正当化、もしくはテロリズムのプロパガンダ」で立件された。このときから両者は拘置所にいる。2024年4月8日にモスクワ市ザモスクヴァレツキー裁判所は同演出家と劇作家の拘留を5月4日まで延長した。


4月15日

17:56.
ジェーニャ・ベルコヴィチ*とスヴェトラナ・ペトリイチュク*がロシア金融監視委員会の銀行口座のテロリスト・過激派リストにリストアップされる。ロシア連邦法に従えば、各銀行は同リストに含まれる人物の口座資金は凍結され、サービスを停止する。
4月8日にモスクワ市ザモスクヴァレツキー裁判所はジェーニャ・ベルコヴィチ*とスヴェトラナ・ペトリイチュク*の拘留を5月4日まで延長していた。同演出家と劇作家は約1年前の2023年5月4日に拘束され、ロシア刑法205条2項205条2項「テロ活動実施への公的な呼びかけ、テロリズムの公的な正当化、もしくはテロリズムのプロパガンダ」で立件された。
拘束の理由となったのは、ネットで急進的イスラム主義者たちと知り合い、シリアにいる彼らのところに向かう女性たちの物語であるスヴェトラナ・ペトリイチュクのドキュメンタリー的戯曲に基づいたベルコヴィチの作品『美しき鷹フィニスト』である。
*ロシア金融監視委員会のテロリスト・過激派リストにリストアップされている。


4月12日

20:00.
エンゲリスのサラトフ州立オペレッタ劇場で4月9日から12日に第二回全ロシア愛国劇フェスティバル「生のために!(ZА ЖИЗНЬ!)」が行なわれた。プログラムにはペンザ州立ドラマ劇場の『レニングラードの寓話』、ヴォルゴロド音楽劇場の『二人の兵士』、ヴォリスク市ドラマ劇場の『ドンバスのグレーゾーン』(ユーリー・ヴァシン作)が入っている。
演目にはソ連時代の古典もあった。サマラ青年劇場「マスチェルスカヤ」の『若き親衛隊』(アレクサンドル・ファジェエフ原作)、ブラト・オクジャワのテキストに基づくヴォロネジ・ドラマ劇場の『紙の兵隊』、ヴィクトル・ロゾフの戯曲『とわに生きるもの』を原作としてサラトフ・オペレッタ劇場のために制作されたミュージカル『記憶に残るたくさんの出来事』など。
2023年に行なわれた第一回フェスティバルの時と同様に、参加団体の一つとしてミハイル・ゴルボヴィチ記念ルガンスク・アカデミー音楽ドラマ劇場がある。同劇場は、サラトフオペレッタ劇場の舞台で、アレクサンドル・コルケルの英雄的な音楽喜劇『我らはみな一つの役を担う』を上演する。


4月11日

13:16.
キリル・セレブレンニコフの映画『リモノフ/バラード(Limonov – the ballad)』が第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品。同部門の参加作品は他に、フランシス・フォード・コッポラの『Megalopolis』、ヨルゴス・ランティモスの『Kinds of kindness(邦題:憐れみの3章)』、パオロ・ソレンティーノの『Parthenope』など。
エマニュエル・カレールによる伝記小説『リモノフ』をモチーフとした「Limonov, the Ballad of Eddie」というタイトルのキリル・セレブレンニコフの作品が発表されたのは2022年5月だった。セレブレンニコフの『チャイコフスキーの妻』を上映された第75回カンヌ国際映画祭では、同作家に関するファーストショットも映し出されていた。
これ以前も甘雨ではセレブレンニコフの映画が三つ上映されている。『The Student』は「ある視点」部門、『Leto』と『Petrov’s Flu(邦題:インフル病みのペトロフ家)』はコンペティション部門に参加した(『Leto』は最優秀サウンドトラック賞、『The Student』はフランソワ・シャレ賞を受賞)。『リモノフ/バラード(Limonov – the ballad)』でタイトルロールはベン・ウィショー、主人公の妻はヴィクトリヤ・ミロシニチェンコが演じる。そのほか出演俳優は、セレブレンニコフの映画でチャイコフスキー役を演じたオーディン・ビロンや、トーマス・アラナ、マリヤ・マシコヴァがいる。脚本は、キリル・セレブレンニコフ、パーヴェル・パヴリコフスキー、ベン・ホプキンス。プロデューサーはマリオ・ジャナーニとロレンツォ・ガンガロッサ。


4月8日

10:00.
収賄罪で10年間の刑期を言い渡されたクリミアの元文化大臣ヴェラ(アリーナ)・ノヴォセリスカヤは「特別軍事作戦域内での服務を申請した」と、ノヴォセリスカヤが収監されているモスクワの第6拘置所を視察したモスクワの社会監視委員会の発表を引用してタス通信が報じている。元文化大臣は委員会メンバーに対して、「すでに3ヶ月前に特別軍事作戦での服務を申請し、近日中にそれが審査されることを望んでいる」と述べた。
ヴェラ(アリーナ)・ノヴォセリスカヤは2009年から2013年にクリミア自治共和国の副文化大臣、2013年から2014年にクリミア人形劇場を率い、2014年2月からクリミア共和国の文化大臣となった。2021年11月19日に多額の賄賂を受け取った罪で逮捕された(ロシア刑法290条6号)。2023年7月18日、モスクワのザモスクヴァレツキー裁判所は、ノヴォセリスカヤに禁錮10年の判決を言い渡した。


4月4日

16:00.
エドゥアルド・バヤコフのノーヴィー・テアトルは「ポエジア・ドク」企画の一環となる『父の名のもとに…』の上演を発表。同企画はノーヴィー・テアトルの芸術監督の主導によるもので、プラクチカ劇場で実施されていた「チェラヴェク・ドク」シリーズの原則に従っていることが伺える。「ポエジア・ドク」は「愛国的な立場とそのユニークな詩的才能が途切れなく結びついた現代の詩人」を扱った企画で、2023年末に始まった。これまで同シリーズはマリヤ・バトゥチナ、イーゴリ・カラウロフ、アンナ・ドルガレヴァを取り上げてきた。『父の名のもとに…』は4月18日と5月9日に上演され、詩人のアンナ・レヴャキナが出演する。レヴャキナはドネツク出身で、2024年にドネツク人民共和国アカデミー青年劇場で上演された物語詩『鉱夫の娘』(2016)の作者として知られている。同作はすでに各都市で上演されており、4月にはモスクワでの上演も予定されている。
『父の名のもとに…』 (アレクセイ・ゼンジノフ作、エドゥアルド・バヤコフとセルゲイ・グラズコフ共同演出)と同作のヒロインに関して、ノーヴィー・テアトルのサイトでは次のように述べられている。「アンナ・レヴャキナのことを、エヴゲニー・エフトゥシェンコは偉大なロシア人詩人と呼び、ヴラジミル・ソロヴィヨフは国内最良の詩人と呼び、ザハル・プリレピンはドネツクの空に輝くロシアの言葉の星だという。スタニスラフ・クニャエフはロシア文化における物語詩『鉱夫の娘』を『イーゴリ遠征物語』における「ヤロスラヴナの嘆き」の水準にあると位置付けた。(中略)今日、アンナ・レヴャキナは「ポエジア・ドク」シリーズの主人公となる。彼女の詩はそのバイオグラフィと絡み合い、マルチ・メディア演劇を生み出す土台となった。(中略)秘蹟として創作、告白としての人生、ヒロインが神と語る際の言語としての詩。(中略)アンナ・レヴャキナの詩、これはZ詩である。ルソフォビアにとっては憎むべきアトリビューションとなるが、ロシア人にとっては、ドンバスの独立をかけた戦闘のシンボルであるばかりか、真の愛国主義、祖国への愛の聖なる徴となる。それは戦場で試される愛である。レヴャキナは戦場の詩人である。そして彼女の詩は、敵を死に至らしめる本当の兵器なのだ」。


4月3日

12:00.
匿名のテレグラム・チャンネルで投稿があり、ゴーリキー記念マガダン音楽ドラマ劇場、トムスク青年観客劇場、マヤコフスキー記念ノリリスク極圏ドラマ劇場はオレグ・ミハイロフの戯曲『ミス・ヒルダー・ボックの真実の物語』に基づく上演を中止した。
オレグ・ミハイロフの戯曲はアストリッド・リンドグレーンの物語の中の有名な「家にいる意地悪(«домомучительнице»)」を主人公にし、2013年に書かれた。数多くのロシアの劇場で上演され、さまざまなフェスティバルに参加してきた。『ミス・ヒルダー・ボックの真実の物語』は「二つの戦争を経験し、その時代の多くのものを目にしてきた女性の波乱万丈で激動の人生を描いている。ミス・ボックとはどのような人物で、カールソンはどこからきて、周知の事実の「裏側」では何が起こっていたのか」とマガダン劇場の告知文では述べられている。
オレグ・ミハイロフはロシアおよびウクライナの劇作家、脚本家で、2010年からハリコフに住んでいる。自身のSNSで同劇作家は幾度となくロシアのウクライナに対する政策を批判してきた。


4月2日

15:00.
4月25日、モスクワでオレグ・ロイの「ドンバスもの」の小説を原作とした作品がまた一つ上演される。一つ目は、モスソヴィエト劇場でヴャチェスラフ・マヌチャロフが演出した『送られなかった手紙』である。今回は、「フォークロア・センター〈モスクワ〉」(旧リュドミラ・リュミナ指揮モスクワ文化フォークロアセンター)で、演出家のアントン・ネポムニャシーが『ドンバスの影』(オレグ・ロイの同名の短編集(2023)が原作)を上演する。「ロシアのラジオ」が、すでに同書を原作としたオーディオ・スペクタクルを、セルゲイ・ガルマシとポリーナ・アグレエヴァ出演で制作している。
上演の解説文では次のように述べられている。「フォークロア・センター〈モスクワ〉の作品の登場人物たちは、特別軍事作戦の兵士、義勇兵、軍医、平和的職業の人々、若い男女、まだ幼い子どもたち、老人たち…。アヴデフカ出身の少年アンドレイカは可能ならすぐにでも兵士になりたかったが、いまはまだ地雷のない道を教えるだけだ。コールサインが「バーチャ」の少佐は、年若の兵士たちの厳しくも愛情深い「父親」で、その兵士たちを救うためならば死も厭わない。ズヴャギンツェフ中尉は手術台の上でも利己的にならず、生き延びることに執着しない。カルーゾというあだ名を持つ有名な俳優は、祖国にとって重要な出来事の側にいつづける。外科医のアンナ・ペトロヴナと天使(アンゲル)と呼ばれる看護師のアンゲリナは負傷兵たちを救うため全力を尽くす」。


3月29日

22:00.
モスクワのザリャヂエ公園のメディア・センターでオリガ・オクレピロヴァ演出『ロシアの夜明け』の初演が行なわれた。同作は「ドンバスでの出来事を扱うドキュメンタリー・社会評論劇」と銘打たれている。同プロジェクトに関しては企画団体の一つであるロシア演劇人同盟が発表した。『ロシアの夜明け』はイリヤ・ルィヴキナの同名の書籍を原作とする。演劇人同盟のサイトでは次のように述べられている。「舞台は、2014-2022年のオデッサ、マリウポリ、ドネツク、ルガンスクである。事件の目撃者や直接関わりのあった人々、同地域の住民、軍人や志願兵らへの数多くのインタビューが作品の重要な要素となった。戯曲の3分の2以上が、作者が出会った人々の生の声で構成されている」。演出家によれば、作品の登場人物たちは「困難な時代にロシア人であろうとする共通の運命によって結び付けられている」という。


3月27日

16:00.
テアトル・ドクはシェンデロヴィチ*のテキストに基づく上演を、「匿名の悪意ある人物からの脅迫により」中止した。
本日、3月27日に劇場サイトとSNSで発表された。『記憶のための甘いもの』(劇作家ヴィクトル・シェンデロヴィチ(外国エージェントに認定)*作)の上演はロシア人民芸術家タチヤナ・ヴラジミロヴァが最後に出演した作品の一つです。先ごろ亡くなった彼女を偲んで、カンパニーは作品を再演することにしました。
劇作家自身は当初から当カンパニーに戯曲の無償使用を認めており、著作権やその他の報酬は、過去に上演されたもの、現在上演されているもの含め、一切支払われていません。
大変残念ですが、『記憶のための甘いもの』の上演は、匿名の悪意ある人物からの脅迫により、中止といたします。
購入されたチケット代は、全額払い戻しされます」。
* ロシア法務省が外国エージェントのリストに入れている。

15:00.
マガダン国立音楽ドラマ劇場は「ドンバスで戦闘に参加したウクライナとロシアの戦車兵の物語」を上演することを発表。ヴラジミル・ヂリの演出作品『ベルガモット・ティー』はアレクサンドル・チャシンの戯曲を原作とする。同劇作家は告知文によると、「マガダンの法律家、作家、劇作家、詩人、公人、ロシア作家協会メンバーで、その社会的・愛国的立場で知られたマガダン地方社会評議会のメンバー」と紹介されている。この一年前には、チャシンの作品集『ドニエプル川はロシアに流れる』に収録された短編を用いたイーゴリ・ダダシェフのモノ・スペクタクルがマガダンの劇場の小舞台で上演されていた。およそ200万ルーブルの文化創造大統領基金(ПФКИ)の助成金のおかげで、新しい上演はより大規模なものになるだろう。「観客は戦争劇に没入し、敵味方の迷彩服に身を包んだ俳優だけではなく、戦車の模型も目にする」とアナウンスに書かれている。「その他、舞台上ではドンバスでの軍事作戦の舞台である実際の前線の映像が用いられている。この映像は、すでに幾度となくドンバスを訪れている演出チームのメンバーで、演出助手のイーゴリ・ダダシェフ(特別軍事作戦の志願兵・従軍記者で全ロシア人民戦線の活動家)が撮影した」。初演は4月27日と28日に予定されている。


3月26日

11:59.
ザモスクヴォレツキー裁判所が3月6日から7日の夜に、スヴェトラナ・ペトリイチュクとジェーニャ・ベルコヴィチを留置所に4月10日まで拘留する決定した身柄拘束への控訴審がモスクワ市裁判所で行なわれた。
「判事は第一審の判決を取り消したが、それにもかかわらず申し立て自体は受け入れ、判決の根拠の変更を述べて拘留を4月10日まで延長した」とジェーニャ・ベルコヴィチの弁護団は審理の結果をテレグラムチャンネルで語った。
審問で弁護側はあらためて告訴の違法性と恣意性を主張した。さらに、前回の審理は、裁判所が閉じた後の夜間に実施され、映像記録は22時50分に終わっているのに、判決が発表されたのは0時1分(そして3月7日に出された判決の日付は前日になっている)ため、 公開と訴訟手続きの権利が侵犯されたことが強調された。また弁護側は特別に複雑な事件ではないにもかかわらず判決が引き伸ばされたこと、事務仕事の遅延の事実も指摘している。


3月25日

12:00.
ゴールデン・マスク特別賞の授賞式は「クロクス」の悲劇のため日を改める。ロシア演劇人同盟は、「クロクス・シティ・ホール」でのテロのため「舞台芸術の発展に寄与」したことを称するゴールデン・マスク特別賞の授賞式は、一定期間延期すると発表した。授賞式は3月27日に実施されるはずだった。


3月23日

11:30.
3月23日と24日、昨日3月22日に「クロクス・シティ・ホール」で発生したテロにより各地での大規模イベントが中止になる。



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